雀のしっぽ。

フィクションとノンフィクションです。

Flamboyant

派手髪は英語で "Flamboyant hair" って言うらしい

日本だと「派手」ってちょっと聞こえの悪いような呼び方をするけど

英語だと「Flamboyant=華やかな」って言葉なのすごくいいなと思う。

 

*

 

高校を卒業してすぐ、毛先を真っ白になるまでブリーチして青に染めた。

 

好きな洋画に黒髪に青のメッシュを入れた女の子が出てきて、その子に憧れて派手髪を始めた。

なんていうのは建前で

もちろん趣味や憧れもあるんだけど

そんな安っぽいものじゃなくて、私の派手髪は

私が私であるための目印で

私の決意で、私の支えで、私自身だ。

 

なんでもかんでも親に縛られて

日々を恐怖と痛みで塗りつぶされて

私は、自分が何が好きで、何が正しいと思うのかを見極めてこなかった。  

品の悪いものに蓋をされ、偏見で目隠しをされ

親の意向にそぐわなければ殴られて

理不尽の針に刺されて飾られたから

仕方ないって諦めてその通りに生きてきた。

 

もう、いっそ死んでしまおうかな。

こんなの生きてても死んでても変わらないな。

まぁ特に未練もないし死んでもいいか。

誰か殺してくれないかな。

 

なんて。

 

自分で足掻くことすらせず

それで、そうして、そのまま惰性で生きて死んでいくんだろうと思っていた。

 

でもそんな人生はごめんだって

このままここで飼い慣らされて、彼らの標本になって

そんなのは嫌だって

私は私を見つけ出して、私は私になりたいって

私はまだ生きていたいって

そう思ったから

私が私のために、親に何を言われても何をされても貫き通した初めての事。

 

それが髪を染めること。

 

青になった髪で歩いた街は綺麗だった。

すれ違う人から好奇の目を向けられることが、あんなに楽しい日はなかった。

私が自分で選んで、そうなったってこと

嬉しくて嬉しくて嬉しくて。

 

あの日私はやっとこの世界に生まれた。

 

青色の産声。

私はここにいるよ、生きてるよってアピール。

自己肯定感。

やっと手に入れた、ひとつめのアイデンティティ

 

私は人間なんて容姿が8割だと思ってる。

どんなにいい子でも、どんなに優しい人でも

大抵は第一印象で決まってしまう。

第一印象なんてものは、容姿がそれなりに良くて、にこにこ明るくさえしていれば大抵どうにかなるんだから

それさえ作れてしまえばなんてことはない。

 

ずっと、根暗でブスで陰キャでつまらない自分が大嫌いだったから

嫌でも派手に見える格好をして、派手な髪をして、化粧を覚えて、その見た目に似合うニコニコ笑う自分を作り上げた。

 

第一印象「チャラそう」とか「パリピっぽい」なんて言われるようになって

それで良かったと思ってるし

そんなふうに見られるように、そういう自分を作っていたいなぁって思うし。

 

まぁ本質は全然そんなことなくて、暗いまんまなんだけど。

 

私はやっと私がしたいことをして

私のために生きられるようになった。

死ぬことじゃなく、生きている明日を

少しだけ望めるようになった。

 

華やかに生きたかった。

自分がそうなれないタイプの人間なのはとっくに分かってるから

せめてそういうフリをして生きたかった。

 

つまらないってわかってるところを歩いていくのは御免だったし

崖から落ちる夢ばかり見るのももう嫌だった。

 

だからまたこの先もそうやって華やかな私のフリをして

なりたい私を繕ってなんとか生きてくし

私が私らしさを見付けて、もう大丈夫これで生きていけるって思えるまで

派手髪はやめられない。

 

それが、私が、派手髪をした理由。