雀のしっぽ。

ひっそり生きている

可哀想な世界のつまらないヒロインの話。

鍵垢で「死にたい」と呟いて彼女は誰かに「生きろ」と言って貰えるのを待っている。

欠如を積み重ねてきた故に満たせない不安を埋めるために、依存と愛とを履き違えてまで居場所を求める。

依存でいいから必要として欲しい。
身体だけでもいいから繋がりが欲しい。
嘘でもいいから優しい言葉をかけて欲しい。
必要としてくれないなら優しくしてくれないならそんな人は要らない。

愛して欲しい見て欲しい忘れないで欲しい。

孤独感やら自己嫌悪やら鬱ったい感情に飲み込まれて死んでしまうから、ひとりは苦しい寂しいと踠いて、条件付きの愛情を受ける為に汚い自己顕示欲を振りかざして歩く。

自己顕示欲と迷惑なアイデンティティを我が物顔に豪語する。
「ゆめかわいい」なんて便利な言葉を使って。

今時幼稚園児でもしないようなツインテールをして、似合いもしないパステルカラーを身にまとって、「メンヘラは可愛い、可愛いは正義」なんて無茶苦茶な押し付けの印象と共に、斜め45度からの不細工な自撮りをしてハートマークで加工する。
鏡の中の自分とは似ても似つかないような顔をインターネットとかいう名前の井戸に落とす。
そうして小さな井戸の中でちやほやされて、やっと呼吸が出来る。
そんな生き物だ。

そうして自分さえ生きて行ければ良い。

見て欲しいから手首を切りつけて、心配されたいからお薬の写真をSNSに投稿して、必要とされたいから身体を提供して、「ブス」ってクソリプはブロックして、自分が一番愛されたいから自分より可愛いあの子は殺す。

そんなことで得られる優しさは全部偽物で中身がないなんてことはよく分かっている。

それでも彼女はいつまでも可哀想なヒロインのフリ。
そうして彼らも物分りの良いお友達のフリ。

そんな作り物の世界。

そんな可哀想な世界の話。