雀のしっぽ。

ひっそり生きている

檻の中の石の人

 

「助けるよ」「迎えにいくよ」

なんて言葉を 何度聞いたか

 

私には生きている理由がない

痛いのも苦しいのも嫌いだし

痛い 苦しい思いを今すぐしてまで死ぬ理由が特別なくて

 

それをその程度の苦痛と言ってしまえばそれまでなんだけど

 

私は

ただ 死ねないから生きているだけ で

私の明日に太陽は昇らない 花は咲かない

 

あの人たちの機嫌をとって

何でもないようにへらへら笑って

顔を合わせたら怒鳴られて

理由も分からず殴られて

そんな毎日がいつ終わるのか

そもそも終わりなんてあるのか

 

そうして毎日すり減らしていたら

いつのまにか 薄っぺらい感情だけが残っていた

 

私は誰かを好きだったんだろうか

私は私が好きなんだろうか

私は

 

私が 私自身の問題を処理しきれなくて

放り出しているだけのことなのは

理解している

 

理解していたところで

それを解決する術も

ヒントをくれる司会者もいないのだから

それをどうすることだって出来ない

 

昨日と同じ今日を 365回繰り返して

周りの人が 歳をとり 歩いていくのを

もう何年も同じ場所からただ見ているだけ

 

「その籠から出してあげるよ」

「その鎖を断ち切ってあげるよ」

なんて優しい言葉に 騙されてきた

 

そんな甘い話あるわけが無いこと

本当は私が一番知っていた

 

自分の何かを削って それで破片が拾えるなら

それだって良かった

 

小汚いことはいくつもしてきたし

人に言ったら引かれるようなこともしたし

私がひとりで墓場まで持っていかなきゃいけないことだらけだ

 

そして そこまでして

私の手元に残ったものは何ひとつないし

鉄の檻に傷ひとつつけてはいかなかった

 

「助けて欲しい」

「誰も私を救ってくれない」

なんて言うのは きっと傲慢だ

 

自分自身の人生を他人に投げ出して

きっと怠惰だ

 

なら 最初からそう言ってくれればいいんだ

「誰もお前を助けない」

「誰もお前に手を差し伸べない」って。

 

そうしたら

私は誰かに期待もしなかったし

きっと今頃冷たい石になって

ずっと眠っていられたのにね

 

夢日記

最近同じ夢を見る。

 

緩い長い上り坂があって、その先が手を付いて登らないと登れないほどの急斜面になってる。

急な滑り台を登ってるかんじ。

その一番上に白いフェンスがあって

私はどうしてもそのフェンスを越えて向こう側へ行きたいらしい。

勢いをつけてとんでみたり、紐をかけようとしてみたりするのだけど、届かない。

やっとフェンスに手が届いても、どうしても足が上がらずそこまで登っては行けない。

 

街全体が閉ざされているようで

他にも出口を求めて歩いている人がちらほらいる。

知っている人だったり知らない人だったり。

 

誰かがどこかの廃ビルの中に抜け道があると言っていて

私もそのビルを訪れる。

4階建てかそれくらいの小さな古いビル。

中は真っ暗で、その窓があるのもどこの部屋か分からず、階段も部屋も迷路みたいにねじれている。

 

いびつな螺旋階段を手探りで登った最上階

ひとつそれらしい部屋を見付けるのだけれど、その部屋にドアはなくただ入口があるだけ。

そして、部屋の入口手前に床はなく

私が立っている場所から2mくらいの空間を飛びこえて転がり込むしかその部屋に入る方法はない。

 

私にはそこへ飛び込む勇気がなく、しばらくその部屋の入口を眺めた後

また登れないフェンスの所で必死にもがいている。

 

そんな夢。

 

待ち人の死に人

‪よく

私が親の期待に背く度に

死産した  戸籍上存在すらしない妹のことを持ち出して‬

‪「あの子だったら、こんなことしなかった」と言われた

 

‪どんなに頑張っても

生まれてすらいない人には勝てないから‬
‪その時代わりに死んでいたのが私だったらって

何度も思った

 

そして、また。今も。

 

先に死んだ人間はずるい

 

どんなに悔しくても

どんなに悲しくても

死んでしまった人には勝てないし

死んでしまった人に縋っている人を取り戻すのは とても難しい

 

"逃した魚は大きい"  と言うように

失くして もう二度と会えない人は

良い方にしろ 悪い方にしろ 

思い出の中で 絶対的な物になっていく

 

きっと私は人間として色んな部分が欠如していて

自分が殺した命の重さも実感出来ないし

他者の死に対する感情が足りていないんだと思う

 

彼らに言われたように

「あの子」だったらきっとそんなことはしなかっただろうし

「あの子」だったら彼らの期待に応えたんだろうし

 

やっぱり代わりに私が居なければよかったんだろう

 

それでも 此処で 見苦しくも 生きてるんだよ

生きているのは 私で誰かじゃないんだよ

 

だから

絶対に勝てないし 足元にも及ばないし

超えられないのだってわかっているけど

 

また居ない人ばかり見ている人を

夢を夢じゃなくして

ずっと待ってるよ

ハリセンボン

大体いつも

置き去りの願望だったから

 

大体いつも

針を飲む約束ばかりだったから

 

全部の指でゆびきりしたって 足りなかったから

もういっそ もぎ取ってしまえばいいのにと思っていた

 

だって どうせ なんか また 

もうどうでもいいや

 

明るい未来なんて、平和世界なんて、幸せな人生なんて

出来っこないって知ってるくせに

それでも待ってるんだよ

間抜けに待ってるんだよ

 

無い指で約束をまた するんだよ

 

約束された時が 全て落ちきって

空っぽのその時がやってきて

 

もういつでも辞めていいこと

もう私の中にそんな約束はないこと

 

そして全部千切って 失くしてしまったこと

そして新しく契って 進んでしまったこと

 

予定を延長してまで

とくにやりたい事もないんだけど

もう一度だけ もう一度だけ って

またゆびきりをして

引き延ばして 生きているのは

とても みっともないな

 

結ぶ指も 飲む針も 全部消毒して

イチからやり直せたら 少しは良かったのかな

 

*

 

そういえばハリセンボンの卵には毒があるそうだよ。

可愛いよね、ハリセンボン

 

 

 

 

夢のない話

 

この家から出ることしか考えていなかった

 

親と縁を切ることしか考えていなかった

 

望みはいつもここから居なくなることだったし

私のここまでの10年はそのためだけにあった

 

ふと立ち止まって

私はここから出て、それからどうしたいのか考えた時

よく分からなくなってしまった

 

親に決められたものじゃなく自分が好きな仕事をするとか

文句を言われずに好きな友達と会って好きな人と生きるとか

親の過干渉が妨げになって出来なかったことをするとか

 

なんかそういうこと

 

子供の頃は簡単だった

着色料の入った駄菓子を食べてみたいとか

友達がやってるゲームを一緒にやりたいとか

NHK以外のテレビが見たいとか

 

歳を重ねてやっとその変のものはどうにかなってしまって

叶わなかった物はもう取り戻せない物で

あと残っているのは「怒鳴り声に怯えて、機嫌を取りながら生活したくない」くらいで

 

その後

 

そうして自分がどうなりたいとか、どうしたいとか、どうやって歳をとりたいとか

色んなものを犠牲にしてきた気がするけど

私は自分の未来への希望的観測をどこかに置いてきてしまった気がする

 

好きだった人が好きじゃなくなって

そこにいる人がいなくなる夢を見て

「さよなら」って言われることを恐怖して

良いものも 悪いものも 全部

手元にある花束を

「どうせいつか腐ってしまうから」って

ひとつひとつ解いて捨てて

 

そういう10年間でした。

次の10年は来るのか。

 

 

 

 

 

Valentine

 

バレンタインは聖ウァレンティニアヌスの命日だとか

チョコレートのカカオをつくるアフリカの貧しい子供がどうだとか

そんなことはやっぱり私には関係がない。

 

他人の悲劇に耳を傾けたり

他人の幸せを手放しで喜んだり

そんな余裕がない。

 

昔誰かのためにお菓子を作った記憶があるような気もするけど

それは何も生まなかったし、それは何にもならなかった

 

相手から望まれもしない贈り物なんてただの自己満足に過ぎない

 

色んなものを諦めて

見なかったことにして

忘れたフリをして

そうしてやっとここまで来たのに

 

また私は去年の私に絶望する

去年の私は一昨年の私に絶望していて

一昨年の私はその前の年の私に絶望している

 

甘味では誰も救えない、救われない

 

甘い魔法なんてただの広告文句で実在はしない

 

R.I.P Valentinianus

 

 

 

私の世界

 

世界のピースのひとつひとつが

パラパラと崩れていくのを眺めていた

 

飼っていた金魚が死んだ

SNSのアカウントを消した

お揃いのマグカップが割れた

メールが拒否されて返ってきた

好きなバンドが解散した

白いセーターに染みがついた

 

新しいものは何ひとつ無い癖に

そこにあった私の欠片が

遠いところから

ひとつ またひとつなくなって

最後は私の足元も崩れて

底へ落ちていく

 

無は 私を殺す