雀のしっぽ。

ひっそり生きている

Oxalis

 

「頑張れ」「頑張るよ」なんて出来ない約束

 

頑張ったってとっくに手遅れなこと

一番知ってるのは君じゃないか

 

タイムマシンでもない限り

やり直しなんて効かないこと

一番知ってるのは君じゃないか

 

だって私の落としてきた1番の後悔は

君が持ったままじゃないか

 

どうしたってもうあの時に戻る術なんて

ないじゃないか。

 

あの時ああしていればって

思わないわけないじゃないか。

 

 

オキザリスは「置き去り」なんて名前のくせに
花言葉が「決してあなたを捨てない」らしい。

 

捨てられたわけじゃない

拒んだのは私

でも置き去りになった

 

進めないまんまなのは私だけで

きっとそれは私の自業自得で

隣にいた人たちはみんなずっと先へ行ってしまった。

 

私は咲いた花を踏み潰して

ここでまだだらだらと生きている

 

希望もないのに

過去に縋り付いて  夢を反芻して 

来るわけのない幸せを 願っている

 

 

頑張るよなんて 

 

 

何を?

 

 

病状と怠惰の境界

 

数年前までは自分自身を

それなりには頭も回る方だし

それなりには人の輪に入れる方だし

それなりに人より出来ることがあって

それなりに自分が好きで、自分に自信があった

 

そりゃ、苦手なものはあるけど

大抵のことは、やればそこそこ こなせるようになるし

年齢という法律の柵さえ越えてしまえば

なんとなく生きていけるものだと思っていた

 

今の私とはてんで違う。

 

 

何かをやっても上手くいかなくなった

まず、気力や体力が追いつかなくなった

得意だと思っていたものがどんどん苦手になった

劣等感さえ抱くようになった

自分がどうなりたくて

自分が何をしたいのか

そういうことさえ 分からなくなった

 

このまま生きていける自信がなくなった

 

 

変わらなくちゃって思う自分に

また追い詰められて

死にてえなって口をつく

 

 

何か新しいことをしたいと思う気持ちがあって

それに勝る眠気と気だるさ

 

食事を取るのも 面倒くさくて

掃除機をかけるだけなのに 出来なくて

ゲームをするのも億劫で

音楽を流すために動くのもだるくて

特に何をするわけでもなく

スマホの画面をだらっと眺めて

そうして気付いたら夜になっていて

 

あれをしたかった

これをすればよかった

明日はこれをしよう

って思い返しては 心に決めるんだけど

 

結局また明日も

目が覚めたらなんとなく死にたくて

何かを始めて 何かを楽しみたいのに

もうこのまま一生寝ていたいな なんて思う

 

 

これは病気なのか、怠惰なのか

なんなのか。

 

 

ひとりぼっちの だれかのはなし

届かない 星の向こう ハルカカナタ

ほんの気まぐれの一言が悪戯に笑った

 

日常の裏側 届かない世界

扉の奥でねえ君は 何を見ているの

3時半の着信の意味は

結局分からないままだった

 

意味のない音律 追い求めた

拾い損ねた言葉を 探し歩いた

きっと君はもうそんなこと憶えてもいないんだろう

 

やっと見つけて

雲を掻いた 大地を蹴った 

眩しさの奥まで手を伸ばしたって

虚しく空を切って

アスファルトに散った

 

唇から溢れる涙

 

「アナタは誰なの?」

 

どうか答えて

愛を 哀を I を

 

どうか教えて

愛を 哀を Iを

 

錆びた釘で心臓を打ちたい

誰もが 私を置いて 幸せになってしまう

私がこの部屋の隅で うずくまって

壁越しの罵倒から耳を塞いでいる間に

 

誰かと手を取り合って

誰かと笑い合って

誰かと愛し合って

誰かと助け合って

私の知らない どこか遠い場所へ行ってしまう

 

きっと ここで何度も手を差し伸べられた

それを 私は何度も撥ね除けた

 

差し出された手を握り返す

その一歩の勇気もなかった 

差し出された手が幻じゃないと

そう信じる勇気もなかった

 

そして今も

 

誰かが無条件に救いの手を差し伸べてくれる

なんてことはあるはずがなくて

私は ああしなくちゃ こう生きなくちゃ って

自分を自分で救うために生きて

そうだったはずなのに

気が付けば この手は 私自身を絞め殺した

 

何かがおかしくなって

それが何か分からなくて

当たり前の事が出来なくなった

 

この部屋でうずくまったまま

手足は錆びて  心臓は腐ってしまった

 

働くことが出来なくなった

長時間電車にも乗れなくなった

いつ倒れるか分からない 外出が怖くなった

そんな自分の価値を肯定できなくなった

頭が悪いと自分を否定してばかりになった

 

死にたくて 生きたくて

死にたい自分を肯定出来なくて

インターネットに 偽物の私を撒いた

芽を出して花が咲いた 見てくれの良い私

そんな偽物がちやほやされるのを ここから眺めていた

 

もう自分だって忘れてしまいたい

 

1年半前に壊れた それっきり動かない

ガラクタの私自身のことも

撥ね除けた手の温もりも

そして 明日も明後日も また同じ夜が来ることも

 

夢現

 

月が綺麗でした

 

星が綺麗でした

 

いつも醜いのは 私だけでした

 

鏡の中の醜い姿を見たくなくて

下ばかり向いていたら

 

空は陰って いつの間にか 月も 星も いなくなってしまっていた

 

あなたの街の月は綺麗ですか

 

あなたの街の星は綺麗ですか

 

その空は 黒く 濁ってはいませんか

 

 

そうだとしたら

そうだとしても

 

なんでもいいや

 

 

夏は嫌いだ

 

暑いし   日差しが強いし 

それになによりセミがいるし  

 

あれは求婚のために 鳴いて いるというけれど

私には、7日後に訪れる死を恐怖して 泣いて いるようにしか聞こえない

 

だから 窓を開けて あの耳障りなジリジリが聞こえると
無数の「助けて」が聞こえてくるようで
耳を塞いでしまいたくなる

 

7日間 死から逃れようと必死に泣き続けたそれは

抗うも虚しく 抜け殻になって アスファルトに転がっている

 

何年も助けを求めることすら出来ないでいて

やっと声を発せるようになったと思ったら 死んでしまう

無惨で 無力で その抜け殻は気持ちが悪い

 

何も出来ずに死んで行く まるで 私の未来を見ているようで

とても気持ちが悪い

 

 

 

ポチ

 

 

君にまた会えるのを 僕はずっと心待ちにしていた

君はもう僕を覚えていないかもしれない

 

でも僕は 君を忘れた日は1日もなくて

君が好きな長い名前の花を見かける度

君と聞いた曲がテレビで流れる度

君の好物が店に並んでいるのを見る度

まだ隣で君が笑っているような気がして

くしゃっと笑うあの顔を探す

 

君が居なくなってから どれくらい経ったのだろうか

僕には広すぎるあの部屋で僕は

絶望した 真っ暗になった 空っぽになった

誰かに名前を呼ばれることも

誰かと外に出かけることも

何もかもがつまらなく億劫になった

 

君の寝息の聞こえない夜がこんなに長いことも

一人で食べる朝食がこんなに味気ないことも

義務的にこなす外出がこんなに退屈なことも

 僕はずっと知らなかったのだ

それはなんと幸せなことだったか

 

「ずっと一緒にいようね」なんて

そんな大切なことを容易く約束した

君にそう言われると僕はなんだか申し訳なくて

最後はどうしたって僕が君を置いていくんだと思っていた

そうしたら泣き虫な君はすごく悲しんでたくさん泣くだろうから

出来るだけ 一秒でも長く君の傍にいようとした

 

 

でも 君は僕を置いていってしまった

 

何日も 君が開けるはずのドアの前で 君の足音を待ちながら

もう君が帰って来ないことをなんとなく知っていた

どうしてかはわからない

でもどうしようもなく悲しくて

これでお別れなんだって そう理解していた

 

 

しばらくしてから 僕は引越しをした

 

あの部屋にいれば

またいつか君がひょっこり帰って来るんじゃないかと

心の隅で願っていた

それでも いつも君のいた場所が空っぽなのを見ているのは辛くて

少しだけ救われたような気がした

 

新しい家で 僕には新しい家族が出来た

お菓子の名前みたいな可愛らしい新しい名前を貰った

きっと僕は恵まれていた

それでも僕は 君がくれた 単純なこの名前が好きだった

それでも僕は 君と過ごした あの狭いアパートが好きだった

 

 

君は僕を覚えているだろうか

僕は目も鼻も悪くなってしまったけど

そこで君をみつけられるだろうか

そうしてもしまた会えたら

君が付けた名前で また僕を呼んでくれるだろうか